対象:4才~
ピアノを弾く作業は、頭、目、耳、手を同時に使う複雑なものです。音を心から楽しみ、その中から、できた、という経験をひとつずつ積み重ねながら、根気よく見守ってあげたいものです。
読譜力をどのように身に着けていくかは、皆さん苦労する点ですから、力を入れていきたいところです。早く弾けるように、と大人が音を読んであげないで、自分で読むのを待っていてあげてください。
音を記憶して弾くほうがよっぽど簡単なのですが、それでは読譜力は育ちません。普段から、自分の力量の範囲の簡単な譜面をたくさん弾かせること、手を見ないで、楽譜から目を離さないで音と音符を視覚から結びつけること、曲の流れを止めないこと、宿題の曲を簡単にでもレッスン中にアナリーゼして、どのような組み立ての曲かを考えてか弾き始めること、などを小さなうちから心がけることが大切だと思っています。
導入の教材は、3,4才でスタートの場合、「うたとピアノの絵本①みぎて」を使います。子どもたちの親しみやすい日本語と、語感に合ったメロディで歌いやすい本です。別冊の連弾を教師が弾いて一緒に歌うことで、単音をつまびくのでは味わえないピアノ音楽の世界を広げます。各曲のイメージに良くあった秀逸な伴奏が付いています。音楽にのる、ことができてきたら、音譜を読み、弾き歌いできるように、とつなげます。あわせてソルフェージュの本を持ってもらい、リズムとメロディ読みに慣れていきます。音符カードを使い、2秒以内にこたえること、を目標に早読みができる訓練をします。
5才児には「新版オルガン・ピアノの本1」と、楽譜の知識を学べるワークブックを2冊セットで始めています。それにソルフェージュでリズム打ち、新曲視唱と、音譜よみカードを時間内に出来る範囲で行います。ソルフェージュ、音符カードも並行して進めます。「はじめてのギロック」「miyoshiピアノメトード」へ移行し、現代的な響きの音楽にも親しみます。
導入が終わってからは、「やさしいポリフォニー」「プレインベンション」か「アンナマグダレーナの音楽帳」でバロック期の音楽を、「ブルグミュラーの練習曲」か、「チャイコフスキーの子供のためのアルバム」でロマン期の音楽を、学びます。また、ツェルニー「やさしい20の練習曲」で古典期の形式による曲でテクニックを学び、合わせてペースメソッド※の「指をきたえるレベル1」「音楽のべんきょうレベル1」を使い、全調の理解と音階の移調、簡単なメロディの作曲と和声をつけられるようにしていきます。
その後はツェルニー30番練習曲や、インベンション、ソナチネアルバムなどに移行していきます。
意欲のある生徒には英国王立音楽学校検定試験(ABRSM)やピティナのコンペティション、ブルグミュラーコンクールなどにも参加してもらい、演奏の向上を図っています。
※ペースメソッド・・・アメリカのロバート・ペース提唱のピアノ教育シリーズ。全調による指の訓練、メロディ即興、和声付けを早いレベルから取り入れています。そのことによって、ピアノ曲を演奏するときに大切な、楽曲分析(アナリーゼ)を自分でする力を養えます。当講師は2005年にニューヨークで行われたロバート・ペース氏によるセミナーに参加しております
レッスン時間は導入期は30分、小学校3年生くらいから45分を目安に行っています。